子どものドライアイ

大人の現象だった「ドライアイ」が、子どもにも危険性が及ぶ時代に!
目に潤いをもたらす環境づくりを!

大人の現象だった「ドライアイ」が、子どもにも危険性が及ぶ時代に!目に潤いをもたらす環境づくりを!
画像素材:PIXTA

子どもってドライアイにならないの?

目が乾く、ゴロゴロする、目が疲れるなどの症状が出る「ドライアイ」。現代人の5人にひとりにこんな症状があるといい、読者のなかにもドライアイに悩んでいる人が多いのではないでしょうか。気になるのは、“子どもってドライアイにならないの?”ということ。今回は、子どものドライアイについて解説します。

まず、「ドライアイ」とはどういうものか、説明しましょう。

私たちの目は、涙によって保護されています。涙腺でつくられた涙は、まばたきをすることによって目の表面に広がり、その一部は蒸散しながら目頭のごく小さな穴(涙点)から鼻の奥に排出されていきます。涙は、脂の層とタンパク質を含む水の層の2層になっていて、薄いベールのように目の表面をおおい、目が乾いたり傷ついたりするのを防いでいます。
「ドライアイ」は、この涙の量が足りなくなったり、質のバランスが崩れたりすることによって、目の表面に涙がいきわたらなくなる病気。それによって不快な症状が出たり、見え方に影響したりするのです。ドライアイの自覚症状としては“目が乾く”だけでなく、“目がかすむ”“まぶしい”“目が疲れる”“ゴロゴロする”など、さまざまです。

原因は、加齢をはじめ、エアコンによる室内の乾燥、パソコンやスマートフォンなどの長時間使用、コンタクトレンズの装用などの要因が重なること。ドライアイの症状を訴える人は国内に2,200万人いるといわれ、その数は年々増え続けています。

ドライアイの訴えが低年齢化

現代人に多くなりつつあるこの病気、子どもにも増えているのでしょうか。「子どもの目は、健康であれば涙の性質も量も問題ないはずですから、ドライアイにはなりにくいんです。小さい子は、目が乾いているという感覚もわからないでしょうし、基本的には大人がなる病気ですよね」
こう話すのは、CS眼科クリニック院長の宇井牧子先生。子どもの斜視や弱視などの診療を得意とする、小児眼科のエキスパートです。
とはいえ、やはり宇井先生もドライアイの訴えが低年齢化してきていることを実感しているといいます。
「子どもの場合は、電子ゲームに熱中するあまり、必死で端末を見続けてしまって、まばたきの回数が激減し、一時的にドライアイの状態になってしまうことがあります。そうすると、ごくまれに、黒目にキズができてしまったりする危険性もあります。コロナの影響で、おうち遊びの時間が増えていることに加えて、空気が乾燥する環境下では、子どもたちもドライアイに気をつけなければいけない時代になってきました」(宇井先生)
冬場の乾燥はもちろん、夏場もエアコンのドライ機能によって、室内で目が乾く環境はそろっています。暖房を使うときは、目のためにも加湿器を使用しましょう。そして、子どもたちにはゲームで遊ぶ時間の厳守を!
ちなみに、“長時間、近くを凝視することによって悪化する”というのは、眼軸長が伸びて近視が進行する条件とまったく同じです。大切な子どもの目を守るための方策は、大人がルールと環境を整えることからですね。

〈参考〉
日本眼科学会ホームページ、同ドライアイ研究会ホームページ

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