うちの子の目、悪くなっているの? 眼科に行くべき? と悩んでいる親御さんに

B以下の判定が出たら、すぐに受診
視力検査の判定が悪かったら、眼科に相談してくださいと言われます。でも、本当にそれでいいのでしょうか……。神奈川県の会社員・千尋さんが、小学1年生の息子・悠真くん(ともに仮名)のちょっとした異変に気づいたのは昨日のこと。
キッチンで夕飯のしたくをしながら、リビングにいる悠真くんを見ると、テレビに1メートルくらいまで近づいてアニメを見ていたのです。

「もう少し離れて見なさい」と声をかけると、悠真くんは「だって、離れると見にくいんだもん」と答えました。
あれ?と思ったのですが、つい1か月前に受けた学校の視力検査は、両目とも1.0以上のA判定。学校眼科検診も問題なしでした。
目は悪くないはずなんだけど……。
もう少し様子を見ようかなと思いつつも、なんとなく心はモヤモヤ。
こんなときどうしたらいいか、兵庫県で新見眼科など5軒の眼科医院を運営する医新会理事長・新見浩司先生に尋ねてみました。

「このお話のお子さんの場合は、眼科を受診して詳細な検査をしてもらった方がいいと思います。子どもの場合、視力が少しずつ落ちていても、本人には見えていないという自覚がなく、それまでと変わらない生活をしていることが多いもの。本人が『テレビが見えにくい』と自覚しているということは、近視がすでにかなり進んでいる可能性がありますし、近視以外の目の病気で見えにくくなっていることも考えられます」(新見先生)
でも悠真くんは、最近おこなわれた学校の視力検査や眼科検診では、問題がありませんでした。
目って、そんなに急速に悪くなるものなのでしょうか。
「学校の視力検査は、全児童・全生徒の視力を短時間で把握しなければならないので、0.3、0.7、1.0の3種類の大きさの視力表だけ使って検査する簡易的な方法です。だから、あてずっぽうに答えたのが当たってしまい、実際の視力よりも良い判定を受けることもあるんですよ。特に低学年のお子さんはまだ、視力検査の意味を理解していないことも多いので、そういう例がよくあります。

そんな視力検査でB以下の判定が出たら、すぐに受診してほしいですし、悠真くんの例のように、仮にAだったとしても、油断は禁物です。近視が進んでいる子は、ちょっとした段差につまずいて転びやすくなったりすることもあるので、そういう普段の行動から気づいてあげたいですね」(新見先生)
お子さんの近視の進行は早いので、気がついたら一刻も早く眼科医へ行くべきという新見先生。
でも受診して、もしなんでもなかったらお医者さんも迷惑なのでは?と聞いたら、笑いながらこう答えてくれました。
「迷惑だなんて思う医者はいないと思いますよ。少しでも心配なことがあるようなら、どんどん眼科医を訪ねて欲しいと思います」
現場のお医者さんからそう言ってもらえると、なんだか少し安心しますね。
少しでもお子さんの目に心配ごとがあったら、すぐに眼科を受診するようにしましょう。
〈参考文献〉
新見浩司・監修『お医者さんがすすめる視力回復 本物の「目の体操」7日間メニュー』(2013年、リンケージワークス)
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